「アンティーク」と呼ばれているものの中には、厳密にはアンティークではなく「ヴィンテージ」や「ブロカント」というカテゴリーの品もあります。
アンティークの本場とも言えるイギリスでも、アンティークフェアやアンティークショップではこうしたヴィンテージやブロカントと呼ばれる品が数多く扱われています。
さらに日本で「アンティーク雑貨」と呼ばれるようなものは、新しいものであれば20年ほど前の品であることも。
定義があいまいに感じられてよくわかりませんが、アンティークには一応ちゃんとした定義もあります。
この記事ではアンティークの定義やほかのものとの違いについてまとめています。
アンティークとは?
アンティークという言葉には下記のような意味があります。
アンティーク(antique)とは、「古い」、「古代の」、「古風な」という意味。その他、「古着」、「骨董品」など希少価値のある古美術や古道具などを表現することもある。 定義としては、「製造された時点から100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品」とされることが多い。 機械的、ラグジュアリーな商品に対抗して、手仕事時代の遺物への憧憬を込めた表現。その点ではラビッシュやビンテージ(ヴィンテージ)なども近い表現だが、アンティークよりは新しいものをさす。
出典:FASHION PRESS
100年という期間の理由としては、1934年にアメリカで制定された通商関税法の文面に「製造された時点から100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品」という定義があることが挙げられます。
さらに、こうした「アンティーク」には関税がかからないことが明記されています。
この定義は日本も加盟しているWTO(世界貿易機関)でも採用されていて、加盟国ではこれによって100年以上前に作られたものと証明されれば関税がかからないことになっています。
ただし、これはあくまでも「厳密に言えば」という話であり、80~90年の品でもアンティークと呼んでもおかしくはないと思います。
では、さすがにアンティークと呼べないような年数の品はなんと呼ばれるのでしょうか。
ヴィンテージ
アンティークの定義である100年に満たないものは主に「ヴィンテージ」と呼ばれます。
おおよその期間としては20年~90年ほどでしょうか。
ヴィンテージジーンズなどという言葉はよく聞きますよね。
こうしたヴィンテージと呼ばれる品でも古いものではアンティークと呼んでも遜色ない品も多く存在しますし、実際にアンティークとして販売されているものもあります。

ブロカント
「ブロカント」とは「美しいガラクタ」を語源とするフランス語で、物を長く大事に使うことが暮らしに根付くヨーロッパの古道具のことです。
実際に辞書などでこの言葉をひくと、単純に「中古品」として記載されています。
ブロカントは日本ではわりと使われる言葉ですが、イギリスではあまり使われていない印象です。
語源であるフランス語圏のフランスやベルギーではよく使われています。
このブロカントは特に年数に幅はなく、数年ほどの文字通りの中古品から数十年ほどのものまであり、ヨーロッパでは毎週行われているマーケットなどで気軽に取引されています。
その他の呼び方
こうしたアンティーク、ヴィンテージ、ブロカントのほかにも、「ラビッシュ」「ジャンク」と呼ぶことも。
ラビッシュというのはイギリスで「ゴミ」という意味合いの言葉ですが、中古の家電や古着などのリサイクル品に使われたりもしますが、この言葉はあまり使われていないように感じます。
ジャンクは日本でも使われていますが、故障していたり破損している品のことを言うことが多く、アメリカでは先述のブロカントをこう呼ぶこともあるそうです。
ただ、モノによっては破損していてもインテリアやコレクションとして価値のある物もあるため、コレクタブルという言葉で表現されている場合もあります。
日本の骨董品とはどう違う?
日本でも古くから「骨董市」と呼ばれる古い品を取引するイベントが開催されていますが、アンティークとはどう違うのでしょうか。
基本的にはアンティーク=骨董品と考えても大丈夫だと思います。
しかし、骨董品はあくまで日本だけのものであり、日本では骨董品に対して厳密に年数などは決められていないため100年以上などの括りはありません。
骨董品を扱う「いわの美術株式会社」さんでは、下記のように説明しています。
日本では上記の厳密な定義に基づいて骨董品と呼ばれることよりも、おおむね数十年前に作られたものも含めて骨董品と呼ぶことが一般的です。
出典:いわの美術株式会社
100年以上のアンティークは数万円、数十万円という価格のものがざらでコレクターでもなければなかなか手に入るものではありませんよね。
その点ヴィンテージやブロカントのような「アンティーク雑貨」なら価格も手ごろなものが多く、ヨーロッパのマーケットや日本の蚤の市でも気軽に購入できます。
このブログではこうしたアンティーク雑貨について皆さんとともに学び、記事にしていきたいと思っています。